BUSINESS TECHNOLOGY
BT (Business Technology) : テクノロジー主導(IT)からビジネス主導(BT)へ
経営の3要素を「人・モノ・金」と言い、それに知恵を加えたりします。また経営の対象であるビジネスの3要素を「プロセス・組織・資源」と言い、それに情報を加えたりもします。情報は3要素の写像であり、知恵は過去の経験、現在の認識を未来の価値へとつなぐ時間性のベクトルを持ち、5W1Hを備えた情報ということができるでしょう。
MDEでは、ビジネスの計画から実現、運用、評価、改善までをモデルベースで行います。それはITがサポートしますが、MDEのためのIT環境を設計し運用する主体は、目的と目標を設定するユーザー自身です。MDEはここではビジネスとITの統合をユーザー主導で実現する方法を意味します。ビジネスとITを融合させた新しい技術コンセプトとして、最近「ビジネステクノロジー(BT)」というキーワードが提唱されています。これは経営戦略とそれを支える組織/プロセスの運用の最適化という視点からITを考えるというものですが、私たちは、ビジネスにおけるMDEがBTであると定義します。
BTは、もちろん出来合いのものではなく、仮想技術です。機械があっても工場が出来ないように、BTが一つの技術として成り立つためには、さまざまな技術と管理要素、手法をユーザーの目的に最適化された形で構成し、エンジニアリングのプロセスを踏みながら改善へ結びつける方法と仕組みが共有される必要があります。それには、ビジネスもITもともに可視化されコントロール可能になっていることが前提になります。可視化(見える化)とは、それらの情報のモデル、インタフェース、インタラクションが妥当で適正であることによって実現します。
ビジネスのさまざまな場面にIT化が浸透した結果、「人・モノ・金」も「プロセス・組織・資源」も、それぞれの現場に最適化された形でモデル化され、管理手法も、評価方法もモデルとして開発され、IT製品として実装されてきました。電子決済などの標準もモデル化されています。そうした意味では、私たちはすでにモデル中心のパラダイムに入っています。モデルとモデルの間の変換は自動化され、設計がプログラムとして生成されるモデル駆動開発(MDD)は、すでに世界的な広がりを見せています。放っておいても、それらが普及することは間違いありません。誰かがつくり、そして使い、うまく使ったものがゲームに勝ち残るのです。重要なことはモデル(を通じて誰か)に使われるのか、モデルを通じて自分たちが目指すビジネスを完成させるのかということです。モデルに使われないためには、モデルを使えなければなりません。
ビジネスとITの連携を確立する技術として、SOAやBPM、シックスシグマなど、さまざまなコンセプトや手法、プラットフォームが登場してきました。新しいxMSはまだ登場し、市場の形成と統合を繰り返していくでしょう。それはIT業界にとっては重要ですが、ユーザーにとっては、ビジネスの結果に役立てられる方法を見つけるのは容易ではありません。これは写真家とカメラの関係に似ています。カメラ技術は進化を続けますが、写真家の関心は写真であって、芸術的感性と撮影技術、適度な身体能力があれば、半世紀前のカメラでも見事な写真は撮れます。トレーニングによって手振れを抑える技術もあります。連写が利かなくても、決定的瞬間を逃さない勘を養うのが筋であって、カメラに頼るのは邪道という考え方もあるでしょう。にもかかわらずカメラの進化が止まらないのは、撮影技術への依存を減らし、環境の限定を減らし、誰でも失敗の少ない写真を撮れるということです。プロとしては、新しい技術の有効な使い方を自分で発見するのがサバイバル戦略の基本だと思います。
BTとしてのMDEは、戦略を実現するため、もろもろのシステム要素を有効に統合する実践的な方法といえます。SOAやBPM(本質的には同じものですが)の実践にはBT/MDEを必要とします。SOAやBPMはMDEにとって課題と技術的素材を提供するでしょう。本誌では、MDEの観点からそれらを評価し、統合するためのインテリジェンスを提供していきたいと考えています。







