編集長のあいさつ
Welcome Letter by the Editor
ロベルト・ジカーリ博士は、ドイツ・フランクフルト大学の データベースおよび情報システム科の正教授で、OMGのヨーロッパ代表を務めています。それ以前は、イタリアのミラノ工科大学で助教授、IBMアルマデン研究センターで客員科学者、米国カリフォルニア大学バークレー校、スイス・ローザンヌのEPFL、メキシコのメキシコシティ大学の客員教授をそれぞれ歴任していました。
訪問者の皆様へ
このウェブポータルのアイデアは2005年に、db4objects のクリストフ・ウィティックとの会話の中で生まれました。クリストフが私に、研究者や開発者がもっとオブジェクトデータベースを使い易くなるような教育プログラムを始める気はないかと尋ねたのです。
このアイデアは私の心をとらえました。私がオブジェクト技術、とくにオブジェクトデータベースに関心を持つようになったのは、1980年代中ごろにさかのぼります。最初は1985-6年のことですが、サンホセにあったIBMのアルマデン研究センターで、私は同僚とともに、複雑なデータ構造を扱えるような関係型データモデルの表現の定義を研究していました。そして1989年から数年間、パリで Gip Altair プロジェクトの設計チームに参加する幸運をつかんだのですが、これはのちに世界初のオブジェクトデータベース製品の一つで、私の知る限り欧州初の商用製品となるO2(オーツー)の母体となったものでした。
当時、若い研究者だった私には、信じられないようなチャレンジでした。自分の研究上の発想が現実化されれば、市場に出ている既存のリレーショナル データベース・システムを置換えるかもしれないと思えたのです…
でも、それは実現しませんでした。
何年たっても、リレーショナル データベース・システムは盤石で、オブジェクト・データベース・システムの商用製品は数えるほどしかありません。
それではなぜこのプロジェクトを始めるのでしょうか。一見すると、これは難題で、確たる見通しがあるわけではありません。私がこのプロジェクトを気に入ったのはそれもあったからかもしれませんが、敢えて確信を持ってお引き受けしたのには、次のような重要な要因がありました。
まず第1に、オブジェクト技術はいまでは主流の地位を築いていること。モデリングではUML、プログラミング環境では java、C#があり、コード生成、MDA、パターン、プラットフォームなど、オブジェクト技術は全面的に拡大しています。これはオブジェクトモデラーやプログラマーだけが使っていた80年代中ごろや90年代とは大きく違う点です。
第2に、オープンソース・コミュニティが、ODBMSの発想と利点を明瞭に示しており、たんに世界中の多くの才能あふれる開発者の協力というだけでなく、実現性の高いビジネスモデルともなっていることです。オペレーティングシステムでは Linux が有名ですが、最近では データベース市場にも及び、MySQLがあります。
第3に、組込み市場など、興味深い新市場が形成されてきました。これは間違いなく、オブジェクトデータベースのような技術が、これらすべてのオブジェクトと データベースの間のギャップを埋めるべく登場する舞台を提供するものといえます。
愉快なことに、一方のオブジェクトと他方のデータベースとの間のギャップは、いまだに埋まっておらず、状況は 7,8年前と変わっていません。しかし重要な違いは、現在では何百万ものオブジェクトが、世界中の様々な生産的ソリューションやプロダクトで使われており、もはや初期のパイオニアだけのものではなくなっていることです。
私はこのプログラムで、研究者や開発者が技術情報や教材、そして可能なら仕事に役立てることができるソフトウェアを自由にダウンロードできるリソースセンターをつくりたいと考えました。学部レベルや大学院レベルでの教育、研究、商用システムのためのソフトウェア開発、オープンソース・プロジェクトのためのソフトウェア開発などは、すべてこのポータルの代表的な利用現場です。
この場は排他的なものではなく、共有されるものです。私は全世界の数多くの友人や同僚がこのプロジェクトへの協力に同意してくれたことを誇りに思っています。その名前は、すべて Expert Cornersにリストされています。彼らに深く感謝する次第です。
I also would like to thank our corporate sponsors for their support that made this project possible.
また、このプロジェクトの実現に協力していただいたスポンサーに感謝します。
皆さんが ODBMS.ORG サイトを快適に利用され、お仕事に役立てられることを願っています。
ロベルト・ジカーリ (Roberto V. Zicari)
P.S.: 最近のブログ記事は www.odbms.org/blog でご覧ください。
