歴史

ODBMS入門 ─ 歴史

ODBMS略史

リック・グリーハン (Rick Grehan)+ダグ・バリー (Doug Barry)

ODBMSもすでに四半世紀の歴史を持っている。SmalltalkやC++を中心としたOOPが築いたパラダイムとともに誕生し、1990年代に入り、最初のピークを迎えたが、2000年を境に低迷期を経験してきた。再び注目されるようになったのは2005年も過ぎてからのことだ。そして現在、第2のブームも遠くないと思われるほど、状況は変わってきた。

1980年代初頭:MCCの Orion 研究プロジェクト

テキサス州オースティンの MCC (Microelectronics and Computer Technology Corporation)が、オライオン (ORION)という研究プロジェクトを開始。ここから後に2つのプロダクト、ITASCA(消滅)と Versant が生まれる。

1980年代末:商用製品の第一世代

フランスの核管理プロジェクトから LISPベースのプロダクト Graphaelが誕生。これがリライトされて Matisse が誕生。

Servo-Logic 社が GemStone をリリース。Servo-Logic は現在のジェムストーン・システムズ。

フランスの国立研究機関 INRIAで O2 の開発がスタート。O2社の創業者は MCC 出身のフランソワ・バンシヨン (Francois Bencilhon)。

トム・アトウッド (Tom Atwood) がオントロジック (Ontologic) 社において、専用言語 COP (C Object Processor)を擁する VBase を開発。COPは最終的にC++に変更され、Ontologic は ONTOS となった。アトウッドは1980年代末にオントロジック社を離れ、オブジェクトデザイン社 (Object Design=現在プログレスソフトウェア社の一部門) を創立。ObjectStore(C++ベース)をリリースした。

この時代のもう一つのプロダクトに、Objectivity/DB がある。ドリュー・ウェイド (Drew Wade) がベンダーのオブジェクティビティ社の創立に加わった。

1991:ODMG

サンソフト社のリック・カテル (Rick Cattel) が OODBMS の有力ベンダー5社とともに ODMG を設立。最初の標準となる ODMG 1.0 は1993年にリリースされた。1990年代を通じて、ODMGは X3H2 (SQL)委員会と共通クエリ言語で協力して活動。具体的な目標は達成できなかったが、この活動は ODMGの OQL(オブジェクトクエリ言語)に大きな影響を与え、さらに1999年のSQLにもある程度は反映されている。

1995年:OODBMS宣言

マルコム・アトキンソン (Malcolm Atkinson)らが Object Database System Manifesto(オブジェクトデータベースシステム宣言)を発表。

1990年代:急成長期

商用ODBMS製品の市場規模は約1億ドルに達するが、2000年を境に縮小に向かう。

2001年:最終版 ODMG 3.0標準リリース

ODMGが最終版の ODMG 3.0標準をリリースし、間もなく Java Community Process に、Java Data Objects (JDO) Specification の ベースとなる ODMG Java Binding を提案。その後、ODMGは解散。

2004年:オープンソースの開始

2005年11月、無償のオープンソース ODBMS プロダクト db4o がリリースされた。db4oは、まずプログラミング言語(Java/C#)に完全に依存するオブジェクト指向データアクセスAPIである Native Queries を補完するものであった。

オブジェクトデータベースの歴史、そしてソフトウェア産業がこの技術をどう考えてきたかについて、さらに詳しい知識を希望される方は、ODBMSの 過去と未来について語ったマリアンヌ・ウィンスレット (Marianne Winslett) が2002年にデーヴィド・メイヤー (David Maier) 教授とンタビューした記事を読まれることを強くお勧めします。