OMGビジネスエコロジー・イニシアティブ

2009年 6月 9日

【OMGホワイトペーパー/オブジェクト・マネジメント・グループ著】 OMGは5月4日、ビジネスエコロジー・イニシアティブというプロジェクトを発表した。これはSOA、BPMやグリーンコンピューティングなど、ビジネスとITの連携による最適化を志向した活動を集約したもので、標準化を背景にしたベストプラクティスの普及・啓発を行うコンソーシアム。MDAをビジネスにまで拡大したコンセプトであるアクショナブル・アーキテクチャの上で展開される、意欲的なものである。

はじめに

「風向きを変えることはできないが、帆の調節ができれば、いつでも行きたい所へは行ける」

ジミー・ディーン
アメリカのカントリー歌手、 TVホスト、俳優、ビジネスマン

OMGは、20年前に設立されて以来、情報技術へのビジネスのニーズの動向と向き合う能力を実証することで、つねにこの成長産業の主導的な勢力として存在してきました。

これまでたどってきた航海図を振り返ってみると、ビジネスの戦略的編成に対応し、統率と計画で、企業の高度な活動に対応すべく、より密接な関係を追求してきたなかで、何度かの方向転換を行ってきたことがわかります。 OMGはこのトレンドを、すべてのプログラムと標準開発努力に忠実に反映させることでこの方向に前進を続けてきました。

OMGは、パーソナル・コンピューティングが ITとビジネスの関係を革命的に変えつつあるさ中の 1980年代終わりに、その航海を始めました。コンピュータネットワークとネットワークストーレジ、ワークグループ・メールとオブジェクト指向開発が脚光を浴び、ビジネス市場にデビューしていました。OMGが、コードとオブジェクトの相互運用性のための標準化作業を通じて、こうした産業の流れを支援することに目標を定めたのはこの時期でした。広汎な支持を得た標準インタフェース定義言語 (IDL®)を中心とした、初期の私たちの活動は、それ以後の開発の形を変えることになりました。

クライアント/サーバ設計を目ざした産業界の動きにより、 ITとビジネスのリーダーたちは、ユーザーがコンピュータ資源とより高度な対話ができる方法に目を向けるようになりました。企業はアプリケーション間の密接な対話性と新しいサービスの実現期間の短縮を要求し、電子メールは一般的になりました。こうした時代の要求に応えるには、オブジェクト指向開発にはさらに厳密さが求められるようになり、いかにしてアプリケーションを「企業即応」型にするかが、ますます重要になってきました。OMGはこうした市場の自然な進化に対して、プラットフォームの相互運用性に関する活動で応えました。すなわち分散オブジェクトコンピューティングの CORBA®とモデリングの UML®です。この標準化活動は、ミドルウェア技術と基盤サービスの相互運用性の発展に貢献しました。

世紀の変わり目が近づくと、企業の関心は ITアプリケーションを個別の市場空間により密接に適応させることに移ってきました。自社の市場環境に最適化したソリューションを実現する ITが求められるようになったのです。 OMGは、テレコムを手始めに、その迅速で中立的、グローバルな標準化プロセスを、産業・用途別の課題解決に適用しました。今日では OMGの標準化活動の約 85%が、2ダースあまりの産業分野別市場(医療、金融、テレコム、製造、バイオ、電子政府、軍事等々)に対応して展開されています。

それと同時にビジネス市場では、ユーザーのコンピュータを不動の前提とする発想から、インターネットがコンピューティング処理の基幹でもあり、カスタマーにサービスを提供する手段としても使われるような環境にしだいに変貌を遂げました。

この変化に対し、私たちは、新しい標準化活動がすべてモデル駆動アーキテクチャ (Model Driven Architecture, MDA®) 構想に基づくよう、 OMGの分野別アプローチを強力に転換させることで対応しました。標準形式のモデリングがビジネスに対して高いレベルでの透過性を提供する、というビジョンは、UML標準やメタオブジェクト・ファシリティ (Meta Object Facility, MOF™)などコアとなるモデリング標準として着手され、さらに(共通のメタモデルから派生し)特定のアプリケーション領域を対象とするモデリング言語が加わる形で、私たちの構想を推進することになりました。

ビジネスルールの標準は、ますます重要性を増し、 OMGのメンバーは、ビジネスと ITの分析の両方に役立つ、ビジネスオペレーションやプロセス、サービスを表現する必要を認識し始めました。 OMGの強さの本質は、つねに様々なコミュニティを集わせることで、産業の発展に対応するために必要な刺激を与え続けてきたことにあります。私たちはそう考えることで、標準化作業の技術的対象を超えて、成熟度を測定するための環境やビジネスと ITの諸問題への解決に向けて協調するための場へと発展させてきました。

OMGの SOA Consortium™、BPM Consortium™および Green Computing Impact Organization™ (GCIO™)は、技術的な意味の標準を対象としない提言団体で、ビジネスと ITがともに使うことができる教育や定義、目標を共有するための標準的方法を推進する、個人、政府機関、企業が参加するコミュニティです。これらのコミュニティは協力して市場を活性化させ、人々の参加を拡大しています。

成熟度モデルに関する作業 (Business Process Management Maturity Model= BPMMおよび Green Computing Maturity Model=GCMM)は、組織自身がその達成度を測定する共通の方法を提供しています。これらは共通のミッションを定義し、改善への弾みをつける手段となるものです。

これまでの私たちのたどった道を振り返ってみると、私たちは OMGの将来がビジネスにあること、つまりビジネスプロセス、モデリング、改善プロセスへのアクセスと測定の表現をサポートする標準から、アナリストや開発者の要求に応えつつ、協調を通じたベストプラクティスを推進し、ビジネスのニーズに対応していくことであると考えています。こうしたサービスの強力な連携を通じて、私たちはビジネスのエコシステムを活性化させることができると考えています。

アクショナブル・アーキテクチャ (Actionable Architecture™)

ビジネスと ITがかつてないほど接近し融合しつつある中で、私たちもこれまで以上に幅広い視野に立って透過性というテーマにアプローチする必要があります。ビジネスは共通の基盤やアプリケーションプラットフォームからだけではなく、透過的なビジネス方法論を通じて IT資源にアクセスするのです。OMGはこれをアクショナブル・アーキテクチャ (Actionable Architecture)と呼びます。

このアーキテクチャの前提は、 ITをユーティリティとしてではなく、企業にとっての不可欠で死活的な資産として見ることです。 ITは品質向上のプロジェクトを主導するものでなくてはならず、効率の向上や売上の拡大、投資対効果の明確化を主導するものでなければなりません。

こうした役割を果たすためには、 ITを目的達成の技術的手段として使うだけは十分ではなく、ビジネスの推進力として使う必要があります。ビジネスは、提供しているビジネスサービスに影響を与えることなく、必要に応じて ITが求めるすべてのアーキテクチャ基盤に手をつけることができなければなりません。OMGは、アクショナブル・アーキテクチャの上で開発、実現されるプロセス管理のベストプラクティスを集約していく構想であるビジネスエコロジー・イニシアティブ (Business Ecology™ Initiative)を通じ、この取組みで主導的な役割を果たしていきます。

アクショナブル・アーキテクチャは、ビジネスに対し次のような重要な性格を実現することを目ざすものです。

品質:ビジネスの製品やサービスが競争力を持つとともに、そのプロセスの反復・改善が可能であることを保証する。

効率性:製品やサービスが、平均的水準より短期間に顧客に提供され、最小限の資源消費でビジネスをサポートすることを保証する。

コンプライアンス:法令上の義務あるいはベストプラクティスのサポートという形で標準に対して対応する。

即応性:予測できない事象によって起こる経営環境の変化に、容易かつ高速に適応できるよう態勢を整備する。

伸縮性:事業拡大に伴う製品・サービス提供における品質や効率への影響を、全社的に標準化された技術、プロセス、方法論によって最小化できるようにする。

再利用性:既存の投資を活用して資源と時間を節約する。

レバレッジ:既存の投資を利用した形で新規投資を展開できるようにする。

価値:ビジネスに真の価値をもたらせるよう、収益と保有コストを計測可能にすることで事業への投資を改善する。

効果:サービスの提供が、合意あるいは公的基準にしたがって、意図した結果を実現できるよう保証する。

最適化:資源への影響を最小限に止めつつ、提製品やサービスを提供するスピードを改善する。

持続可能性:エネルギーや空間、時間への制約が強まるなかで、ビジネスの継続を可能とする。

ビジネスエコロジー・イニシアティブ

この目的のために、 OMGはアクショナブル・アーキテクチャを通じてビジネスエコロジーの実現を中心的に推進する立場にあります。この活動には、もちろん標準も必要ですが、それだけでなく、ビジネスと ITの連携のための強固な関係とコミュニケーションのメカニズムが必要となります。 OMGは多様なコミュニティに共通の場を提供する上で申し分のない実績を持っており、それにより以下のように、標準化活動を超えた産業界の協力のためのフォーラムを通じた新しいイニシアティブを生み出しています。

  • SOAコンソーシアム:ビジネスアナリストと ITのエンドユーザーによるコミュニティで、サービス指向型企業への移行を最も効果的なものとするための経験交流を目的としています。
  • BPMコンソーシアム:ビジネスアナリストと ITのエンドユーザーによるコミュニティで、ビジネスプロセスのパフォーマンスを最大化するための経験交流を目的としています。

GCIO:ビジネスアナリストと ITのエンドユーザーによるコミュニティで、持続可能性のある事業活動を促進・実現することを目的としています。

それと同時に OMGは、ビジネスと ITの連携を実現するために、移行の効率性を客観的に評価し、モデル化し、推進する方法の一つとして、標準的な成熟度モデルも必要となることを認識しています。 OMGは成熟度モデルを定義することでこれをサポートしようと力を入れています。

  • BPMM:全社的な効率化のための BPM適用のレベルを測定する標準方法論。
  • Green Computing Maturity Model (GCMM):効率の最大化と、サステナビリティのための環境負荷最小化という観点から、企業の事業活動の成熟度を測定する上で規範となる標準的活動のセット。

引き続き標準が重要な役割を果たす中で、 OMGはその作業を継続し、さらにビジネスと ITの協調をサポートする標準の策定においても重要な役割を果たします。 OMGは現在、 100を超える標準プログラムを進めていますが、以下はほんの例です。

  • アーキテクチャ駆動システム革新 (Architecture Driven Modernization):レガシーシステムをモデルとして記述するための標準のセットで、いつでも新しいシステム方法論と技術、関連標準に接続し、ソフトウェアの安定性と品質を最適化できるようにするもの。
  • ソフトウェア無線(Software Defined Radio):多種多様な通信技術が、あらかじめ定義された相互運用仕様がなくても、必要に応じて相互運用性を持つことを可能にする標準のセット。
  • SysML言語 (SysMLR Modeling Language):システムの精確な設計と最適化、統合を可能とするために、大規模で複雑なシステムを定義・記述する共通の標準言語。

ビジネスエコロジー・プログラム

OMGのビジネスエコロジー・プログラムは、私たちの共通のビジョンを広めるための様々な機会を提供するもので、次のようなものが含まれます。

ビジネスエコロジー諮問パネル:ビジネスと ITの両分野を代表する、主導的な CEO、CIO、COOやアナリスト、理論家から構成され、市場動向の分析を支援し、私たちの活動がビジネスの ITニーズと合致していくように導くパネルです。

普及イベント:これらのイベントは、コラボレーションを目ざしたもので、エグゼクティブのためのプレゼンテーションという形式を持ち、関心を持つ企業の参加を促進するだけではなく、顧客を発見し、顧客を啓発するのに役立ちます。

教育資料:技術普及を支援するホワイトペーパー、ケーススタディ、論文、成熟度モデル、標準ドキュメントなどを提供します。

製品情報:ビジネスエコロジー市場での販売機会を高められるよう、製品プロファイル情報とデモの場を提供します。

まとめ

OMGは、広汎な相互運用性・移植性・再利用性を提唱し、国際的な標準として実現するという不変の使命を忠実に果たすことを通じて力を得てきました。この蓄積と時代に応える拡張の歴史を持つ OMGが、新しいエコロジー的ビジネスの世界への移行の中で主導的な役割を担うのは自然なことであると考えます。情報技術がコストセンターではなく、ビジネスのパートナーであり資産として、サービスの創造を推進し、カスタマーをサポートし、予期せぬ変化に適応させ、真にアクショナブル(実行力のある)ビジネスアーキテクチャを創造するものとなるために。

ビジネスエコロジーはビジョンではなく、進むべき方向であり、ビジネスとテクノロジーの市場の両方に価値をもたらす強力なプログラムにより追求され、推進されるべきものといえます。 OMGはこのコースを進み、使命を全うするでしょう。多くのスポンサーの乗船をお待ちしています。

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